回転窓/適正価格に向けて

2024年8月8日 論説・コラム [1面]

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 近所のスーパーに2024年産の新米が並びだした。早場米として出荷されたものだが、驚いたのはその価格。昨夏の猛暑による生産不振で値上がりした流れは収まらず、しばらく購入を見送ることにした▼農林水産省によると、6月までの1年間の主食用コメ需要は前年から11万トン増の702万トン。近年の人口減少や食の多様化などでコメの需要量は右肩下がりだったが、10年ぶりに増加へ転じた▼おすしなど和食を楽しむインバウンドの復調に加え、パンや麺など他の主食と比べて価格高騰が緩やかだったのも需要増の要因とされる。6月末時点の民間の在庫は156万トンとなり、前年の同時期より41万トン、率にして20%の減。記録が残る1999年以降で最少になった▼需給の引き締まりが価格上昇につながっている。産地では生産コストの高止まりを踏まえつつ、消費にブレーキをかけないよう適正な価格帯を探っているそう▼ものづくりの世界では適正価格の議論が熱を帯びる。建設業も第3次担い手3法の成立を受け、入札契約制度や商慣習の見直しが本格化する。持続可能な産業に向け、課題の先送りは許されない。

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