不動テトラ/浚渫兼起重機船起工、海洋インフラの再構築に向け新機能搭載

2024年8月8日 企業・経営 [3面]

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 不動テトラは、国土交通省の「港湾・空港工事の持続可能性を確保するための作業船のあり方」で示された「災害対応」と「カーボンニュートラル実現」の視点から浚渫兼起重機船を建造する。「2001テトラ号」に代わる新造船。省人化や生産性向上を図るシステムや、環境に配慮した蓄電システムなどを導入する。災害発生時に対応可能な機能を装備し、被災地の災害支援活動に役立てる。2025年春の就航を目指す。
 新造船の浚渫兼起重機船(押航式)「FT400」は、船体(台船)が全長68・5メートル、幅25メートル、深さ4・5メートルの規模。最大つり能力は400トンで最大積載荷重4011トンを誇る。押し船兼作業船は全長14・25メートル、幅6メートル、深さ2・07メートルの大きさとなる。
 省人化や生産性向上を目的に、船体を所定の位置に誘導するDPS(ダイナミック・ポジショニング・システム)やICT施工支援、AI航行支援システムを導入する。海上衝突防止や監視業務低減で安全性の向上と省人化を可能にする。
 環境性能にも配慮し、ハイブリッド蓄電システムや陸電供給システム、電動スラスターを搭載する。発電機を少量化し、夜間や作業休止時の発電機稼働時間を削減することで二酸化炭素(CO2)発生量を削減。電動スラスターは蓄電システムと併せて余剰電力を有効活用し、CO2の発生をゼロする。女性専用室や災害時の避難所機能を発揮する船倉設備を備え、ウェルビーイングやユニバーサルデザインにも考慮した設計とした。
 同社は5日、富士海事工業(兵庫県相生市、重岡良則社長)で起工式を開いた。関係者15人が出席し、建造中の安全と順調な進捗を祈願した。不動テトラはさまざまな海上プロジェクトでの採用に向け、浚渫兼起重機船を積極的に営業展開していく。