北陸新幹線敦賀~新大阪延伸/国交省が新駅位置3案を提示、建設費は最大5・3兆円に

2024年8月9日 行政・団体 [1面]

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 国土交通省は北陸新幹線敦賀~新大阪間の延伸で、京都新駅の位置として3案を示した。将来的な物価上昇を考慮した場合の建設費が従来の約2・1兆円から最大約5・3兆円にまで増えると試算。建設資材価格の高騰や、働き方改革による労務費の上昇などを考慮した。全線開通までの工期も従来の15年から最長で28年に延びるとした。関連経費を2025年度予算の概算要求に事項要求として盛り込む方針だ。
 7日に東京都内で開かれた与党検討委員会の会合で報告した。京都新駅の位置とルートについて▽JR京都駅の地下を東西に通る「東西案」(概算事業費約3・7兆円、工期28年)▽京都駅の地下を南北に通る「南北案」(約3・9兆円、20年)▽京都駅の西側にあるJR桂川駅付近の地下に新設する「桂川案」(約3・4兆円、26年)-の3案を提示した。
 東西案は総延長約146キロになる。地下鉄烏丸線などの地下構造物を避けるため、約50メートルの深さに駅を建設する必要がある。東海道新幹線京都駅が近く、地下鉄烏丸線を下から支えながら施工する必要があるため、変位抑制や掘削時の施工管理の難易度も高いとした。
 南北案は総延長約144キロ。駅の建設に当たって、用地の取得や協議が必要になる。在来線と距離が離れているため、施工管理上の影響はないとした。
 桂川案はJR京都線の下を通過する府道などを避けるため、約50メートルの深さに施設を建設する。JR京都線が近いため、東西案と同様に施工管理が難しい点が課題になる。総延長は3ルートで最も短い約139キロになる。
 概算事業費は23年4月時点の資材高などを基に算出した。今後も毎年2%ずつ物価上昇が続いた場合▽東西案=約5・3兆円▽南北案=約5・2兆円▽桂川案=約4・8兆円-に費用が上振れする。
 ルート案を提示したことについて、斉藤鉄夫国交相は8日の閣議後会見で「早期の全線開業に向けた大きな一歩だ」と力を込めた。「沿線自治体の理解を得られるよう、(建設主体の)鉄道建設・運輸施設整備支援機構と共に丁寧に説明し、与党の議論も踏まえながら、一日も早い全線開業に向けて取り組んでいきたい」と話した。