中央防災会議WG/3D都市モデルや無人化施工に関心、首都直下地震対策の強化

2024年8月19日 行政・団体 [2面]

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 首都直下地震対策を議論している中央防災会議(会長・岸田文雄首相)の有識者ワーキンググループ(WG)で、防災・減災に貢献するデジタル技術として、国土交通省の3D都市モデルや無人化施工が一段と注目されてきた。規制緩和や各種データのさらなる利用を求める意見がある。デジタル技術を有事にも利用するため、大容量通信への対応や非常時の備えの強化が必要という見方も強まっている。
 同会議の防災対策実行会議傘下の「首都直下地震対策検討WG」は、人口減少下でも防災や非常時対応を効率化するため、「デジタル技術の活用」を主テーマとした会合を9日に開いた。デジタル技術の活用促進策、情報通信機能の確保、大都市圏特有の課題を議題に、専門家が議論を行った。
 事務局の内閣府は関係省庁の取り組みの一つとして、3D都市モデルをさまざまに駆使する国交省の「PLATEAU(プラトー)」を紹介。地震発生を想定し、震度、全壊・焼失棟数、液状化の被害の可視化が行われ、情報を分かりやすく伝えるコンテンツが公開されることを説明した。
 ある委員は構造物の付属情報に着目し、防災・減災への貢献を検討することの必要性を強調した。別の委員は油圧ショベルなどの無人化施工について、能登半島地震の復旧事例を引き合いに活用を推進する方策の検討を提案。非常時に活躍できる幅が広げられると見て、規制緩和を含め必要な措置を講じるよう求めた。
 会合では、非常時にデジタル技術を利用する場合の課題に、大容量データの処理と次世代通信網の整備などが挙がった。2030年代の産業・社会基盤となる通信インフラを見据え、非地上系通信網を生かしたネットワークの強靱化を求める意見もあった。