主要ゼネコン26社/24年4~6月期決算、手持ち工事進捗し17社増収

2024年8月19日 企業・経営 [1面]

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 主要ゼネコン26社の2024年4~6月期連結決算は、手持ちの大型工事が順調に進捗し17社が増収となった。本業のもうけを示す営業利益は黒字会社のうち13社が前年同期と比べ増加した。単体受注高は民間の大型案件に加え国内土木の官公庁案件を受注し、19社が前年同期を上回った。4月に時間外労働上限規制が適用されたが、サブコンを含め供給網の影響を期首予想に盛り込んでいたため業績修正した社はなし。想定の範囲内で工事消化と受注を積み上げている。
 決算は9日に出そろった。連結売上高を見ると増収の企業は手持ち工事を着実に消化。鹿島、大林組、大成建設、高松コンストラクショングループなどが同期決算として過去最高を記録した。減収となった東洋建設は「前年同期に計上した大型工事の反動減と手持ち工事の設計変更の獲得時期のずれ込み」を要因とした。
 営業増益となった企業は「国内の建築で利益率が改善した」(西松建設)という。「低採算案件が一巡し、採算性の良い案件に入れ替わっている」(大手ゼネコン)との声もある。一方、営業減益だった長谷工コーポレーションは「前年同期に利益率の高い不動産売却案件があった反動」を理由とした。
 工事の採算性を示す単体の完成工事総利益(粗利益)率は公表した23社のうち、前年同期を上回ったのは9社にとどまった。「設計変更の獲得で増益を見込む」社もある一方、「サブコンのひっ迫状況は健在。価格上昇も続き、交渉は難航」(中堅ゼネコン)と利益確保に苦しむ状況がうかがえる。
 受注高は国土強靱化など官公庁案件に加え、民間の大型工事などを獲得。今後、インフラ整備に加え、防衛関連の建設工事が本格化し期待が高まる。「適正工期や安定した利益に期待できる官公庁案件を狙う」(準大手ゼネコン)と戦略を練る一方、「土木は競争が激しくなる」との見方もある。
 適正な工期や価格が求められる中、スライド条項や設計変更を盛り込んだ契約は必須。採算性を重視した選別受注を徹底する姿勢が強まりそうだ。