水機構/早明浦ダム再生(高知県土佐町、本山町)、11月に堤体削孔着手

2024年8月19日 工事・計画 [9面]

文字サイズ

 水資源機構が四国最大の貯水量を誇る早明浦ダム(高知県土佐町、本山町)で進める再生事業の工事が本格化してきた。治水機能を高め吉野川の洪水による被害を軽減するのが目的で、洪水調節容量の増大に伴う放流能力の不足を補うため直径4・8メートルの放流管を3本増設する。堤体上流側に浮体式の上流仮締め切り設備を設け、貯水池運用を維持しつつ下流側から堤体を掘削し放流管を設置する。この工程を3回繰り返す。最初の堤体削孔が11月に始まる予定だ。
 再生事業では、既に実施している利水容量の振り替えや整備後に計画する予備放流の導入により洪水調節容量を現在の9000万立方メートルから1億0700万立方メートルに増やす。本体主要工事のうち、増設洪水吐き工事は大林組・佐藤工業JV、上流仮締め切り設備工事は日立造船・IHIインフラ建設JV、増設放流設備工事は豊国工業・佐藤鉄工JVが担当。総事業費は約500億円を見込み、2028年度の完成を目指す。
 同ダムは堤高106メートル、堤頂長400メートル、堤体積118万7000立方メートルの重力式コンクリートダムで1975年に供用開始した。総貯水容量は3億1600万立方メートルに及び、四国4県の農業用水や都市用水を支える。
 23年8月の再生事業起工式から約1年が経過した3日、ダムの恩恵を受ける各県の行政関係者らを招き見学会を開いた。吉野川の水を香川県に送る香川用水が通水開始から今年で50年、25年に早明浦ダムの管理開始50年の節目を迎えるのを記念して企画した。青木研四国地方整備局吉野川ダム統合管理事務所長は「四国4県に恩恵を与えているダム。重要性を再認識してもらえたら」と話した。