清水建設ら/建物OS核に医療DX、外来診療業務の効率化確認

2024年8月28日 企業・経営 [3面]

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 清水建設と社会医療法人誠光会(滋賀県草津市)は、外来診療業務の効率化を目的に共同開発した医療施設DXシステム「eye MIRU」の普及に向け、営業活動を本格化する。清水建設が開発した建物OS「DX-Core」と医療系システムを連携させた支援システム。誠光会が運営する淡海医療センター(同、420床)で4カ月間の実証運用を経て、職員の生産性向上や外来患者の利便性向上など導入効果を確認した。9月から販売する。
 「DX-Core」をベースに建物設備の稼働状況や人の位置データを取得。電子カルテや会計情報の医療系システムデータと連携させることで、患者の顧客価値向上と職員の労働生産性向上、法人の持続可能性向上を目指す。
 機能の一つ「Patient Flow Map」では予約・受け付けシステムの情報や電子カルテから取得する診察の進捗、会計待ち人数などのリアルタイム情報を基に、時間帯ごとの繁忙状況を可視化する。会計の滞留状況把握に特化した「Accounting Status」や職員の勤務情報から外来の診療科ごとのタスクを可視化する「Staff Information」、ビーコンから取得した職員の位置情報なども活用し適正な職員配置をサポートする。
 カメラ映像からエレベーターや待合室の混雑状況をAIで解析しエレベーターの運用や空調、照明を自動制御する機能も備える。実証運用では会計待ち時間を約50%短縮し、職員の残業時間も約30%削減できた。
 27日、大津市内のホテルで行った記者会見で、誠光会の北野博也理事長は「業務のデジタル化を通じて機構を改革することが重要だ。今後も清水建設と医療DXとスマート・ホスピタル化に取り組んでいく」と決意を表明。清水建設の清水優執行役員エンジニアリング事業本部長は「真に病院の運営改善につながっていると自負している。今後は誠光会が掲げる地域医療連携構想に基づき、複数の病院にシステムを導入し、高付加価値化と病院運営の改善につながるシステムに発展させたい」と語った。
 当面は400床以上、外来患者数600人程度の病院をターゲットに据える。30年度に約10億円の年間売り上げを目指す。