鹿島/AIで建物の生涯CO2排出量を正確に算定、最適な削減プラン提案

2024年8月30日 技術・商品 [3面]

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 鹿島は、AIを活用して建物のライフ・サイクル全体の二酸化炭素(CO2)排出量を正確に算定するシステムを開発した。建築部材だけでなく、従来は難しかった数万点にも及ぶ設備機器のCO2排出量も正確に算定可能。各構成部材をCO2排出原単位とひも付けて算定する従来方法と比べ、算定時間を約8割削減できる。設備機器の選定時、CO2排出量が異なる複数パターンを短時間でケーススタディーし、最適なCO2削減プランを提案できる。
 新システム「Carbon Foot Scope」(カーボンフットスコープ)は、CO2データ分析システムの開発を手掛けるゴーレム(東京都千代田区、野村大輔代表取締役兼最高経営責任者〈CEO〉)と共同開発した。
 建築部材に加え、電気・衛生・空調・昇降など各種設備機器のCO2排出量も正確に算定できる。工事見積内訳書などの既存データを取り込むことで、建築部材や設備機器の一つ一つをAIが自動で分類。所定のCO2排出原単位とひも付ける。建築部材や設備機器ごとのCO2排出量を正確に把握できるため、より具体的なCO2排出量削減プランの検討も可能。カーボンニュートラル社会の実現にも貢献できる。
 鹿島は新システムを施工物件4件に適用した。専門知識を持つ技術者と同水準の正確性で建物のライフ・サイクル全体のCO2排出量を算定できることを確認。さらに中規模物件(S造地上13階建て)に適用した場合、算定に要する時間を従来の人手による算定に比べ約8割削減した。
 今後、新システムを一層活用、展開し、用途や構造、規模の異なるさまざまな建物に適用する。算定データを蓄積し、さらなる機能向上を図る。