各府省庁の25年度予算概算要求/国土強靱化に6・4兆円、5か年対策は事項要求

2024年8月30日 行政・団体 [1面]

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 各府省庁が財務省に提出した2025年度予算の概算要求のうち、国土強靱化関係の防災・減災対策の計上額が明らかになった。総額は前年度予算比23・4%増の6兆4336億78百万円。うち公共事業関係費は20・4%増の4兆8543億4百万円。国土強靱化の加速化・深化分と位置付ける「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」の最終年度分の予算は、編成過程で計上額を決める事項要求とした。
 国土強靱化基本計画の基本的な方針に据える▽防災インフラの整備・管理▽ライフラインの強靱化▽官民連携の強化▽デジタルなど新技術の活用▽地域における防災力の強化-の5本柱に沿って各省庁が施策を検討し、所要額を計上した。
 要求額で最大は国土交通省の4兆3558億82百万円(前年度予算比21・4%増)。気候変動の影響による水害や土砂災害の激甚化に対抗するため「流域治水」を加速する。迅速な復旧・復興につなげるため高規格道路のミッシングリンク解消を急ぎ、インフラの老朽化対策や住宅・建築物の耐震化も後押しする。防衛省の要求額は8065億95百万円(14・5%増)。駐屯地や基地施設の機能強化などに取り組む。
 農林水産省は6951億49百万円(17・8%増)を要求。荒廃山地の復旧・予防対策や流木対策、ため池の防災工事や農業水利施設の耐震化を進める。文部科学省の要求額は3515億51百万円(144・7%増)。学校施設の老朽化対策や避難所としての機能強化を図る。南海トラフ地震などを念頭に地震防災研究プロジェクトも進める。
 環境省の要求額は701億73百万円(21・3%増)。廃棄物処理施設の防災機能向上を急ぐ。避難施設や防災拠点への自立分散型エネルギー設備導入も支援する。経済産業省は400億75百万円(7・8%増)。エネルギー供給施設の防災機能強化の支援などに当たる。
 総務省の要求額は144億97百万円(19・6%増)。新規事業として非常時の通信サービスを確保する「事業者間ローミング」の実現に取り組む。法務省は363億13百万円(29・8%増)、警察庁は332億55百万円(8・2%増)。警察施設や矯正施設の耐震化、災害に備えた交通安全施設の整備などを進める。厚生労働省は11億53百万円(116・7%増)を要求し、災害派遣医療チーム(DMAT)の養成などに充てる。
 内閣官房は2億21百万円(16・9%増)、内閣府は251億46百万円(33・0%増)、外務省は35億50百万円(35・3%増)、こども家庭庁は1億18百万円(22・9%増)を要求。これ以外にデジタル庁を含む各省庁が交付金・補助金などの枠内で講じ予算額が特定できない施策が含まれる。