鹿島/高速道を通行止めせず大規模修繕、床版打ち替えにUHPFRC

2024年9月2日 技術・商品 [3面]

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 鹿島は8月30日、中日本高速道路会社と共同開発した「超高性能繊維補強セメント系複合材料(UHPFRC)」を用いた道路橋床版のリニューアル工法を、高速道路を供用しながらの大規模改良工事に国内で初めて導入したと発表した。老朽化した道路橋床版のコンクリート上面を防水性や耐久性、強度特性に優れるUHPFRCに打ち替えて、床版全体を撤去・再構築することなく床版性能を回復させた。通行止めせずに128メートルのUHPFRCの施工を約8時間で完了した。
 同工法はプレストレストコンクリート(PC)箱桁橋の床版上面コンクリートの劣化部を除去した後、UHPFRCを打ち込んで一体化させる。舗装を含めた厚さを現況と変えることなく、床版を高耐久化するのが特徴。橋梁上部構造の重量がほとんど変わらないため、下部構造の補強を最小限に抑えられる。
 導入したのは「長野自動車道(特定更新等)岡谷高架橋改良工事」(中日本高速道路会社発注)。片側2車線道路の1車線を規制し、既設コンクリートの劣化部(深さ30ミリ)をウオータージェットで除去後、UHPFRCの製造や運搬など一連の作業を実施。UHPFRCの硬化後、アスファルト舗装し、車線規制を解除する。同工事では約8時間で128メートルを施工した。
 UHPFRCの打ち替えは今回(7月)に続き11月にも予定。さらに継続して行い、6年間で施工延長2066メートル(2万0315平方メートル)を打ち替える計画だ。
 鹿島は今後、UHPFRCをコンクリート床版上面の打ち替えのほか、鋼床版の増厚や橋脚の巻立てなどさまざまな工事に導入できるよう研究開発を進める。