防衛省/25年度予算概算要求、施設強靱化に35・8%増の8571億円

2024年9月3日 行政・団体 [1面]

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 防衛省は2025年度予算の概算要求で、前年度比10・5%増の8兆5389億円を計上した。5年間で総事業費約4兆円を投じる「施設の強靱化」に35・8%増の8571億円を要求。既存施設の更新に3255億円、部隊新編・新規装備品導入などによる施設整備等に3923億円を求めた。老朽施設の耐震化や防護性能の向上、陸上・海上・航空の各自衛隊の拠点整備などを進める。
 25年度予算は、22年12月に閣議決定した防衛力整備計画(23~27年度)の3年目の事業に投じられる。施設強靱化の概算要求は、他分野を含め総額約8655億円となる。主要司令部等の地下化など(要求額932億円)、自然災害対策(103億円)、火薬庫整備(358億円)、ドローン対処機材導入(84億円)の予算も計上した。
 既存施設の更新は、駐屯地・基地など283地区について、構造強化や再配置・集約化に関する「マスタープラン」に基づき設計、工事を行う。省エネルギー対策や土地の有効活用も措置され、PFI方式の採用なども検討する。
 部隊新編などからの施設整備は、陸上自衛隊の高等工科学校の共同化・共学化に310億円、大規模な係留施設を整備する海上自衛隊の佐世保(〈仮称〉崎辺東地区)の施設整備に360億円、航空自衛隊の北大東島移動式警戒管制レーダーなどの施設整備に65億円を求めた。呉地区の複合防衛拠点整備の要求額は5億円を計上した。
 主要司令部等の地下化では、戦闘機を格納する分散パッドの整備や電磁パルス攻撃対策も進める。自然災害対策は浸水対策やのり面崩落対策などが柱。火薬庫は全国6施設で計36棟を新設する。
 このほかの要求事項を見ると、補給倉庫の自動化に43億円を計上。沖縄訓練場の敷地内に民間の最新技術を生かす自動化倉庫を整備する。女性自衛官向けの環境基盤整備として隊舎の女性区画整備、トイレ・浴場整備などに164億円を求めた。
 自衛隊病院関係は、那覇病院建て替え調査に0・1億円、福岡病院と横須賀病院の本体工事にそれぞれ165億円、71億円を要求した。防音工事や公共施設整備を含む基地周辺対策経費は1489億円となった。
 米軍再編関係は予算額を示さない事項要求で、米海兵隊のグアム移転や、普天間飛行場移設などの事業費が予算案編成までに決まる。