空衛学会/CN社会実現へ五つの提言を公表、建物全般でネットゼロ追求

2024年9月3日 行政・団体 [2面]

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 空気調和・衛生工学会(空衛学会、秋元孝之会長)は2日、カーボンニュートラル(CN)社会の実現に向け、空衛工学の分野で取り組むべき課題と方向性を示す五つの提言を公表した。ZEBを進展させ、建物のライフサイクル全般にわたって温室効果ガス排出量を実質ゼロとする状態「ネットゼロ」を追求。技術開発や評価方法の確立などを通して積極的にCN実現に貢献する方針を掲げた。
 空衛学会では2022年4月に秋元会長を委員長として学識者ほか設計事務所、ゼネコン、設備工事、電力、ガスの各企業の実務者計17人でつくる専門委員会を設け検討を進めていた。
 提言は▽新築と既存のZEB/ZEHを究める▽建築・都市とエネルギーインフラの需給連携を強化する▽設備のエンボディドカーボン(建設時の二酸化炭素排出量)を削減する▽適応策としてのウェルネスとレジリエンスを推進する▽情報と教育の基盤としての学会活動を充実させる-の五つがあり、各提言は2~3項目で構成する。
 建物に関する温室効果ガスを全体的に抑制しつつ、施工の合理化や利用者の快適性、防災対策などを両立できるように複数の課題解決を「同時並行で進めていく必要がある」とした。学会の研究成果は英訳を含めて積極的に外部に発信し、国・自治体などでの公的基準の策定や企業の取り組みを適切に導けるようにする。資格制度の創設など人材育成の方針も盛り込んだ。
 提言の全文は空衛学会ホームページ(https://www.shasej.org/index.html)で公開している。