大和ハウス工業/マンション事業売上26年度に4000億円へ、高付加価値に転換

2024年9月3日 企業・経営 [4面]

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 大和ハウス工業は2日、今後のマンション開発事業の方針を発表した。地価や建設費の高騰を考慮し、供給戸数を重視していた従来の計画を、収益・資金効率重視へと転換。2024年度の売上高は2640億円と見込み、26年度には4000億円への拡大を目指す。建設業の働き方改革を要因に、建設費の高騰は今後も続くと分析。利益率が比較的低い郊外物件の開発は今後抑え、都市部での高付加価値物件の開発に重心を移す。
 同日東京都内で「マンション事業計画説明会」を開いた。24年度の売上高には、連結子会社のコスモスイニシアが持分法適用関連会社に変更になったことや、中国でのマンション引き渡し戸数の減少が大きく影響。23年度(4418億円)と比べ、大幅な減収を見込んだ。24年度の営業利益も170億円と見積もり、23年度(373億円)と比べ減益になる。24年度の供給戸数は2000戸前後を計画する。
 富樫紀夫上席執行役員マンション事業本部長は今後の住宅ローン金利の上昇を見据え、「実需層の購入意欲は、今後厳しい局面が見えてくる」と評価。「駆け込みで一定の需要は発生するだろうが、販売価格はますます上がる。来年あたりに、一つの転換期を迎えるだろう」と見通した。
 販売価格の上昇には建設費の高騰も影響を与える。富樫氏は資材価格は落ち着きを見せている一方、労務費が下がる見込みはないと分析。一般層に向けた郊外のマンション開発は「昭島プロジェクト」(東京都昭島市、28年3月引き渡し予定)で一段落させる考えを示した。今後はターゲットを、都市部の高付加価値なマンションを購入できる富裕層にシフトする方針だ。
 具体的なプロジェクトの検討状況も紹介した。約15・5ヘクタールの敷地にマンションや商業施設などを開発する「(仮称)SSCつくば学園南プロジェクト」(茨城県つくば市)は約600戸の供給を予定。23年末に用地を仕入れており、今後建設を本格化する。福岡市東区の「(仮称)九州大学箱崎キャンパス跡地プロジェクト」では約2000戸の供給を計画する。