国交省/品確法運用指針の改定骨子案、VFMなど新技術活用促す

2024年9月3日 行政・団体 [1面]

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 国土交通省は改正公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)に基づき公共発注者が講じるべき措置を盛り込む「基本方針」と、発注関係事務の共通したルールとなる「運用指針」の改定骨子案を明らかにした。運用指針では公共工事での新技術の活用を強く打ち出し、VFM(バリュー・フォー・マネー)に沿った資機材・工法の採用と予定価格への反映などを促す。国交省が主導する週休2日の「質の向上」や災害対応時の労災保険料の予定価格への反映など、働き方改革や災害対応力の向上に関する内容も充実させる。
 国や地方自治体は基本方針に従って措置を講じる努力義務が課される。改定骨子案では改正公共工事品確法に加え、改正建設業法に基づく対応も明記。建設業の直近の課題を踏まえ、時間外労働規制や猛暑日を考慮した工期設定などを併せて求めていく方向で調整する。
 新たな運用指針では改正公共工事品確法の規定内容を可能な限り具体的な発注方式や対応方策に落とし込む。例えば地域で競争が存在しない状況が見込まれる場合、直轄工事で試行する「参加者確認型随意契約方式」の活用を例示。災害対応で技術力ある企業と地域企業が連携する方策として「復旧・復興建設工事共同企業体(復旧・復興JV)」の活用を促す。
 災害協定に基づく工事の労災保険契約で、発注者が負担すべき保険料の範囲も明示。会社役員の労災保険の特別加入や民間の災害補償保険などの法定外保険、第三者に加えた損害の賠償に必要な金額を担保する保険契約も含め、予定価格に反映する。維持管理を広域的に行う連携体制は、国交省が推進する「地域インフラ群再生戦略マネジメント(群マネ)」を念頭に対応を求める。複数年契約や包括・共同発注、設計段階から施行者が関与する方式、CM(コンストラクションマネジメント)方式の活用を例示する。
 新技術の活用は新たな章として独立。VFMや脱炭素化への配慮など発注者に求める事項に加え、国の施策に関する記載を充実させた。高度な技術の研究開発を担う民間主体などの意欲を高めるため、国が委託する研究開発では特許権などの知的財産権を受託者から譲り受けないことを基本にすると明記した。
 運用指針の改定骨子案は近く自治体や建設業団体に送付され意見照会の手続きに入る。2025年度の発注関係事務からの運用を見据え改定作業を進める。