清水建設/風水害対策ツール一般販売へ、現場や既存建物への適用めざす

2024年9月4日 技術・商品 [3面]

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 清水建設は2025年度までに、国土交通省が推奨するタイムライン(防災行動計画)の策定や実践を支援するシステム「ピンポイント・タイムライン」の一般販売に乗りだす。SNSに自動通知される気象情報を組織内で即時共有し、必要な対策項目を確認したり実施状況を報告できたりする風水害対策ツール。01年4月に開発してから各地で約3年半実証してきた建設現場に加え、ビルや工場といった既存建物など幅広い適用を目指す。
 同システムでは災害の発生が懸念される台風や大雨など気象予報情報が出た場合、最長で5日前から適時、必要な防災対策を事前登録しているユーザーに通知する。実際に建設現場などで防災対策を実施してSNSの画面に提示されるチェックボックスをクリックすると、関係者全員に防災行動計画の実施状況を共有する。防災対策に万全を期すとともに、コンクリート打設など天候に左右される作業の実施判断にも役立つ。
 清水建設はこれまで約3年間にわたり、各地で施工する約200現場を対象に、約2000人の関係者が同システムを試験運用してきた。今後は他の建設会社が施工する現場に加え、一般のビルや工場などの建物向けにも外販する予定。全国にあるビルや工場などの状況を即時把握する必要があるような業態の民間事業者向け販売に力を入れる。
 同社は同システムと、さまざまな設備機器同士を連携させる既存の建物OS「DX-Core」の連携も視野に入れる。今後3~4年以内に同システムで気象情報を即時把握し、DX-Coreによって必要に応じ止水板を遠隔操作できるようなシステム連携による成果を目指す。