回転窓/生みの苦しみ

2024年9月5日 論説・コラム [1面]

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 人気漫画「名探偵コナン」が今年で連載30周年を迎えた。主人公・江戸川コナンの正体は謎の組織によって体を小さくされた高校生探偵の工藤新一。鋭い洞察力と高い推理力で難事件を解決していく。25の国と地域で翻訳され世界中に愛読者がいる▼原作者の青山剛昌氏を追ったドキュメンタリー番組が先日放送された。制作現場では青山氏とアシスタントが自席で黙々と作業をしている。漫画に描かれている世界観とは違い、張り詰めた空気が現場全体を覆っていた▼執筆に行き詰まったのか、時折、うなり声をあげて大きく伸びをする青山氏。国民的なアニメ作品に育て上げた「生みの親」にかかるプレッシャーは相当なものだろう▼創作活動に携わる人には何らかの「生みの苦しみ」が伴う。それでも一心不乱に打ち込めるのは、作品を世の中に届けたいとの強い思いがあるからだろう▼小欄も原稿に行き詰まるとよく上を向き、しばし頭を空っぽにする。本紙に問われるのは「建設産業全般の向上と発展」(編集綱領より)に貢献する情報をどう発信していくか。その本分を肝に銘じつつ、今日も「生みの…」を味わおう。