回転窓/これまでの10年とこれから

2024年9月9日 論説・コラム [1面]

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 世の中の激しい移り変わりをたとえて「十年一昔」という。建設産業にはどのようなこの10年であったろうか▼ちょうど10年前、2014年9月9日付本紙1面に掲載した記事の一つは「あす中建審開催/経審、入契法指針に意見聴取」と見出しが付く。担い手確保・育成の観点から検討を進める経営事項審査改正などについて、翌日開く中央建設業審議会で委員の意見を聴取するのが記事の骨子。当時注目されていた議論である▼その年は1月、国土交通省が「建設産業活性化会議」を設置。6月の中間取りまとめでも大きな柱として打ち出されたのが、処遇改善を中心とする担い手の確保・育成だ▼直近10年を振り返ると、公共工事の積算に用いる設計労務単価は13年度から毎年上昇し、現場の週休2日も着実に広がりを見せている。技能者が適切に処遇されるための建設キャリアアップシステム(CCUS)は、19年4月に本格運用がスタートした▼担い手不足は依然深刻な問題だが、手をこまねいてきたわけではない。これからの10年、求められるのはさまざまな施策の継続・拡充と取り組みのスピードを速めることだろう。