回転窓/注目のトンボ研究

2024年9月10日 論説・コラム [1面]

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 〈町中や列を正して赤蜻蛉(とんぼ)〉(小林一茶)。台風シーズンの8~9月にかけ、町中を飛び回るトンボをよく見かける。台風一過で群れなす光景に出会うと、台風と一緒に移動してきたのかと思うことも▼専門家の話によると、もともと幼虫(ヤゴ)から羽化して成虫になる時期と台風の襲来が重なり、天候が回復して一斉に飛び交うそう。熱帯や亜熱帯地方から南風に乗って海を渡り、長距離移動するウスバキトンボは、沖縄の方言名で「カジフチダーマー」(風吹きトンボ)。昔から台風に乗ってやってくるとの言い伝えもある▼トンボの語源は「飛ぶ棒」「飛ぶ穂」などと言われる。漢字では中国由来のトンボ(蜻)とカゲロウ(蛉)が合わさり、その意味は「薄い羽のある虫」だとか▼6日に成年皇族となられた秋篠宮家の長男悠仁さまは、幼い頃からトンボの調査を続けられてきた。進学先でも昆虫の生態などの研究を希望されているという▼国内には約200種のトンボが生息し、大型のものは「ヤンマ」、赤とんぼなどの小型を「アカネ」とも呼ぶ。古くから人々に親しまれてきたトンボ。今後の研究成果が注目される。