清水建設/超高層現場に高効率昇降機、大容量・高速化を実現

2024年9月10日 技術・商品 [3面]

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 清水建設は国内最高の垂直搬送性能を備えた工事用エレベーター「SEC5000-RS」を、三成研機(埼玉県日高市、野田裕二社長)やエスシー・マシーナリ(横浜市瀬谷区、樋口義弘社長)と共同開発した。超高層ビルの建設現場で資機材の搬送や作業員の移動を効率化する。1号機は清水建設を代表企業とするJVが高さ284メートルのビルなどを施工している日本橋1丁目中地区第1種市街地再開発事業(東京都中央区)の現場で実装済み。2、3号機は同社が東京駅前で施工する国内最高層385メートルのトーチタワー新築工事の現場(同)に適用することが決まっている。
 新たな工事用エレベーターは清水建設が基本機能の企画と設定、実機の性能調査を担当。三成研機が実験装置の基本設計と製作、エスシー・マシーナリが仕様の検討や実験をそれぞれ担当した。
 仕様は内寸が幅5・8メートル、奥行き2・16メートル、高さ3メートル。最大積載荷重を5・0トンとし、高さ300メートルまでの垂直搬送性能を実現した。汎用(はんよう)されている最大積載荷重3・0トンタイプに比べ搬器床面積は1・6倍の12・53平方メートルになる。ボード積載量に換算すると3倍の6山(1山当たり800~900キロ)、作業員換算で約1・7倍の76人が積載できる。
 昇降速度は駆動装置の高機能化で分速110メートル、10%の高速化を実現。積載荷重に応じた可変速制御にも対応し、3トン時まで分速110メートル、3~4・5トン時に同100メートル、4・5~5トン時に同90メートルと変速。軽積載時に駆動装置に生じる余力を昇降速度のアップに割り当てる仕組みとなる。
 搬器の大容量化や可変速制御に合わせて高機能化させた駆動装置の騒音軽減にも工夫を凝らし、従来の3・0トンタイプより低騒音とした。
 清水建設は大都市圏の賞高層ビル現場を中心に、今回開発した工事用エレベーターの拡大を目指す。