経産省/工業用水道強靱化、経営の在り方で産構審WGが初会合

2024年9月10日 行政・団体 [2面]

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 経済産業省は、工業用水道の強靱化と事業経営の在り方に関する検討を始めた。産業構造審議会(産構審、経産相の諮問機関)に有識者ワーキンググループ(WG)を設置し、6日に初会合を開いた。構造物の更新・強靱化を事業者に促す計画の内容と実効策、水需要や料金制度を含む経営の方向性などを議論する。12月に成果を取りまとめる。
 経産省によると、産業構造の変化などから工業用水の需要は減少傾向にある。2022年度の契約水量、平均給水量は1997年度比でそれぞれ約13%、約18%の減少。給水能力は約4%減でほぼ横ばいにある。契約水量の減少に伴い料金収入も減っているが、工業用水道事業は修繕費、職員給与、減価償却費が約6割と固定費の割合が大きい。
 施設の老朽化対策と、災害の激甚化による強靱化対策は大きな課題となっている。過去10年間の工業用水道事業の年間平均投資額が約500億円に対し、老朽化の進行から50年度までの更新に必要な年間平均投資額は約1000億円と試算されている。現行料金に関しては、施設の建設・改良・再構築に投じる「資産維持費」を含めていない事業者は7割を超えている。
 こうした現状を踏まえ、同省は対応を検討する考え。産構審地域経済産業分科会工業用水道政策小委員会の傘下に、工業用水道事業の経営基盤強化等に向けたWGを設けた。委員長は長岡裕東京都市大学建築都市デザイン学部都市工学科教授が務める。同小委員会での審議を踏まえ、「サステナブルな工業用水道事業の実現」などに向けた対応を議論する。更新・強靱化工事のコストアップ対策、利用減を受けた施設規模、自己資金確保などが焦点になりそうだ。