政府/国土強靱化実施中期計画の検討開始、推進会議で加速化対策の効果評価

2024年9月10日 行政・団体 [1面]

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 政府は9日、内閣官房の国土強靱化推進会議(議長・小林潔司京都大学名誉教授)を開き、国土強靱化実施中期計画の具体的な検討を本格的に開始した=写真。現行の「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」の効果などを評価した上で、計画の策定方針を定めていく。地方自治体などの意見を聴取し、同会議が素案をまとめる。首相がトップの国土強靱化推進本部で計画案を議論し、閣議決定する。
 5か年加速化対策は2021~25年度におおむね15兆円が投じられる。計画は国土強靱化基本法に基づく法定計画となり、加速化対策の後継となる。計画には期間、施策の内容、目標、事業規模を定める。政府は経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)2024で、計画の検討を「最大限加速化」するとしていた。府省庁は7月の連絡会議で評価内容を整理した上で、策定に取り掛かる方針を確認していた。
 同日の会議の冒頭、内閣官房の丹羽克彦国土強靱化推進室次長は「いつ起こってもおかしくない大規模な自然災害の被害を最小限に抑制できる防災・減災、国土強靱化に取り組む必要がある」と指摘。その上で「本日から実施中期計画の検討を進める」と宣言した。
 会合では5か年加速化対策の評価で、個別対策と施策間連携の在り方などについて議論した。今後、個別対策に関するデータを府省庁から収集し、同会議で評価について議論していく。
 評価の施策間連携については、災害外力・耐力、社会状況、事業実施環境の三つの変化から評価を検討する。インフラの災害耐力の低下(老朽化の進行)、人口減少、人材不足と対応、国土交通省の「流域治水プロジェクト2・0」をはじめ府省庁の取り組み、能登半島地震の教訓なども踏まえた評価が行われていく見通し。
 会合で福和伸夫議長代理(名古屋大学名誉教授)は、能登半島地震の被害から建築物の耐震化の遅れを指摘し、「民主導の(評価の)カテゴリーがあっていい」と意見を述べた。