名古屋市/三の丸地区まちづくり有識者懇談会が初会合、将来像の検討スタート

2024年9月11日 行政・団体 [7面]

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 名古屋市は9日、第1回名古屋城三の丸地区まちづくり構想有識者懇談会を中区の市公館で開いた=写真。老朽化が進む地区内の官庁施設が更新期を迎える機会を捉え、リニア時代にふさわしい新たなまちづくりの方向性や進め方について意見を聞く。懇談会は2025年度までに3回開催し、同年度末をめどに構想を策定する。
 冒頭、伊藤大局長は「リニア中央新幹線の開業を控え、三の丸地区は都心の重要な拠点の一つと捉えている。まちづくり構想を策定する中で、愛知・名古屋の新たな顔として将来像やまちづくりの進め方を議論していただきたい」とあいさつ。座長の井澤知旦名古屋学院大学名誉教授は「付加価値をもっと付けることができるエリアであり、課題を解決し未来を先取するエリアとしても考えられる」と述べ、三の丸地区の新たなまちづくりへ忌憚(きたん)ない意見を交換したいとした。
 構想の対象範囲は名古屋城の東側と南側の約63ヘクタール。三の丸地区独自の建築ルールである名城郭内申し合わせ区域を基本に、周辺との連携を意識した範囲とした。地区内には重要文化財に指定されている市本庁舎、県本庁舎、市政資料館をはじめ多くの官庁施設があるが、建設後50年を超える施設は約6割。50年には約半数が80年を超え、長寿命化計画に合わせたゼロエミッションビルへの対応が課題となっている。
 地区内から名古屋城が見える場所が限定的、歴史を感じにくい、平日の夜や休日は人が少ない、広い道路空間の有効活用など多くの課題も指摘されている。一方、名古屋城に近接し名古屋駅や栄地区からも近く、周辺では県新体育館(IGアリーナ)が25年度に開業するなどの立地特性も持つ。
 初会合では「歴史・文化はあるが官庁街のため発信力がない」「建物をカーボンニュートラル対応にしないと土地の価値も上がらない」「地盤が強固で地震や水害に強い。災害時も地域として継続できることは強み」などさまざまな意見が出された。市本庁舎や県本庁舎を「庁舎」として使用し続けることの限界を指摘する意見も合った。
 次回懇談会は25年2月ごろに開催し、目指すまちやまちづくりの進め方、組織・推進体制などの意見を聞く。同10月ごろに最終懇談会を開く。意見を踏まえ市は25年度末をめどに、おおむね30年後を見通したまちづくり構想を策定する予定。