大成建設/建設事業の環境への影響を可視化、30年度までに事業の3割で適用へ

2024年9月13日 企業・経営 [3面]

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 大成建設は2026年度までに、建設事業が自然環境に及ぼす影響を定量評価する「ネイチャーポジティブ(NP)手法」を確立、運用する。自然資本と言われる動物や植物、水、土、空気の5要素について、それぞれ工事の前後でどのような影響を及ぼすか、客観的に実証された評価手法によって可視化。投資家などさまざまなステークホルダーに対する情報開示を支援し、投融資の獲得につなげる。30年度までに同社が設計、施工するプロジェクト全体の30%程度でNP手法の適用を目指す。
 最新の企業活動や財務情報などをまとめた24年版報告書「大成建設グループ 統合レポート2024」(https://www.taisei.co.jp/about_us/wn/2024/240905_10077.html)で説明している。
 NP手法の開発には23年度から取り組んでいる。建設事業全体で見た自然資本への配慮や経済的要素から定量評価。顧客に対しNPへの影響や貢献度合いを指数として算出し、工事前後の比較評価を可視化し提示できるようにする。プロジェクト用地内の土地改変を含むオンサイトと、調達に関するオフサイトの2パターンに分けて評価できる仕組みを構築する。多くの工事に適用できるようシンプルな入力で科学的評価を可能にしていく。
 NPは22年にカナダで開かれた国連生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)で提示された概念。今後、TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)に沿った対応が義務化されるとの見方もあり、企業活動や経営姿勢に対する新たな評価指標として位置付けられる可能性もある。
 同社は26年度と30年度にそれぞれ50件以上、NPに貢献するプロジェクトの推進目標も掲げている。