道路協会/10月1日から主要基準類書籍の電子化本格運用、機能拡充し利便性向上

2024年9月13日 行政・団体 [1面]

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 日本道路協会(徳山日出男会長)は10月1日から電子図書利用サービスを本格運用する。協会が発刊している道路関係の基準類書籍のうち、まずは14図書の電子版を有料販売。価格を紙版よりも1割安くし、一部は半額で提供する。本格運用に伴い、クリックで参照箇所にジャンプできる機能や正誤表を自動更新する機能なども追加し、ユーザーの利便性を高めた。今後、電子図書の対象を徐々に拡充していく。=2面に販売書籍一覧
 基準類書籍の電子化は、建設業界の生産性向上支援を目的とした取り組み。1冊当たり数百ページある膨大な書籍を電子化することで、官民の技術者による検索や持ち運びといった負担を軽減する。同協会は4月から導入期として12冊を電子化し、無料で誰でも利用できるようにした。導入期の利用実態などを踏まえ、本格運用に向け機能や内容を拡充する。
 これまでのキーワード検索といった機能に加え、クリックで参照箇所にジャンプできる機能を追加する。内容も紙版からさらに充実させ、正誤表の自動更新や一部図表のカラー化・高解像度化、紙版出版後に問い合わせがあったQA情報の付録なども進める。一部の図書は講習会テキストとセット販売する。購入した図書は1度に2端末まで利用できる。
 導入期の12冊に加えて、廃版となった「道路橋示方書(H24版)I~V」はセットで復刻販売する。道路橋の補修などに当たり、建設された当時の示方書を確認したいというニーズに対応した。
 販売図書を電子化する取り組みは他団体も注目している。「電子化のプラットフォームをオープンにすることで他団体が販売する図書の電子化も可能か」などの問い合わせもあるという。こうしたニーズを踏まえ、将来的には道路以外の建設に関係する図書の電子化も視野に入れる。
 本格運用に先立ち、徳山会長は「本格的な電子図書サービスに行き着いた。あとは紙版に慣れている利用者層が電子化のハードルを乗り越えてくれるかどうかだ。利便性はかなり高まっており、業務の生産性は間違いなく向上するだろう」と期待を寄せる。
 深澤淳志副会長は「導入期に多くの人にアンケートなどでご協力いただき、業界の人にとって使いやすいものに仕上がった。要望があればなるべく反映していく考えだ。ぜひ利用してもらいたい」としている。