デジタルライフライン実現会議/25年春に工程表や指針作成、インフラ管理DX推進

2024年9月17日 行政・団体 [1面]

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 政府がインフラ管理などにデジタル技術を駆使する取り組みに一段と力を入れる。関係省庁は12日、第2期デジタルライフライン全国総合整備実現会議(議長・齋藤健経済産業相)の初会合を開き、デジタル技術を社会実装するための具体策やルールを定めるロードマップ、ガイドラインを来春に策定する方針を確認した。地下インフラの空間情報をデジタル化し、相互共有や業務を自動化するインフラ管理DXなどを進める。
 同会議は国土交通省などの関係省庁と学識者、企業関係者で構成。政府の「デジタルライフライン全国総合整備計画」は第1期の実現会議が検討し、約10年間を想定した計画として2023年度に決めた。第2期は第1期から取り組むインフラ管理DX、ドローン航路、自動運転サービス支援道、奥能登版デジタルライフラインの四つの運用などを踏まえ、全国展開への対応を整理。各省庁と連携し、フォローアップワーキングや関連検討会で議論する。
 インフラ管理DXはさいたま市と東京都八王子市の200平方キロメートル以上で地下の通信や電力などの空間情報をデジタル化し相互共有などを進める。埋設物の照会、応急復旧への活用などを想定。インフラ関係会社が参加し相互共有のためのインフラ管理DXシステムの仕様策定と設計・開発などを行う。設備情報を統一フォーマットで管理する仕組みの整備や、システムの運用主体・方法も検討する。
 ドローンは運航と航路を巡る検討を進める。1級河川沿いの通信環境や離発着場の仕様などを議論しつつ、河川巡視・点検業務の一部をドローンの映像やAI分析で代替する対応の在り方も詰める。既に国交省の地方整備局などが映像を取得する経路の手引を策定するための実証試験の準備に入っている。
 自動運転は新東名高速道路・駿河湾沼津SA~浜松SA間の優先レーンと、茨城県日立市大甕駅周辺でデータ収集や実装を促しながら、優先レーンの有効性なども検討する。奥能登は地震の教訓を生かし、被災者管理やドローン利用の取り組みを進める。
 それぞれに短・中長期の重要業績評価指標(KPI)と重要目標達成指標(KGI)を設ける。インフラ管理DXは全国の主要都市50カ所で展開、ドローンは1級河川上空(約1万キロメートル)、送電網上空(約4万キロメートル)の航路設定などを視野に入れる。10年間の経済効果は2兆円を見込んだ。