大林道路/橋梁RC床版補修を1車線規制で高速施工実現、超高強度セメント複合材活用

2024年9月25日 技術・商品 [3面]

文字サイズ

 大林道路は超高性能繊維補強セメント系複合材料の「スティフクリート」を用いた高速道路の橋梁RC床版補修で、1車線規制での高速施工を初めて実現した。対象は中日本高速道路金沢支社が発注した「北陸自動車道(特定更新等)杉崎第1橋床版増厚工事」(福井県越前市)の現場。5月25日~7月11日の作業で新たに開発した国内最大級の製造能力を持つ車載型の専用大型プラントを使用し、1車線規制帯内での施工を可能にした。
 スティフクリートは2021年、道路橋のRC床版増厚補強向けに大林組やUBE三菱セメントと共同開発した。大林組が開発した常温硬化型超高強度繊維補強コンクリ「スリムクリート」を改良。薄層で高い耐久性を確保できる機能を維持しつつ「早期強度の発現性能」と「早期硬化時間の制御性能」を加えた。
 施工後3時間で交通開放時に必要な1平方ミリ当たり24ニュートン(N)以上の圧縮強度を確保。現場条件に合わせて配合を微調整でき外気温や勾配に関係なく品質や出来形を確保する。
 北陸自動車道(特定更新等)杉崎第1橋床版増厚工事では、新たにトラック架台に積載した1立方メートルミキサー2台と排出コンベヤーで構成する車載型の専用大型プラントを開発、活用し製造能力が向上。2台のミキサーでスティフクリートを交互に製造。排出コンベヤーによってミキサーからキャリアダンプまで運ぶことで連続的な製造や打設を可能にした。システム化されているため、製造に必要な作業員も従来の20人から8人に削減できた。
 施工能力も大幅に向上し、1時間当たり3立方メートル製造し打設できるようになった。従来、1車線の規制帯内で小規模ミキサーを使っていた時は同1立方メートルの製造が限界だった。施工中に規制帯の外から材料を搬入する工事車両も不要となる。
 大林道路は交通量が多い区間の高速道路リニューアル事業を念頭に、交通量の少ない夜間限定の高速施工も可能になるとして施工速度が大幅に向上したスティフクリートを積極提案していく。