三井不ら/築地地区まちづくり(東京都中央区)、33年度まちびらきめざす

2024年9月25日 工事・計画 [4面]

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 三井不動産らは築地市場跡地(東京都中央区)の開発で、2033年度を第1期まちびらきの目標に設定した。敷地東側に設けるオフィス棟を除く、大半の施設を同年度までに竣工させる。施設の概成から都心・臨海地下鉄新駅をはじめとする交通基盤が整うまでは、10年程度のタイムラグが発生する見通し。同社らは来街者の移動を方向的・時間的に分散させるため、対策を現在検討している。
 京橋法人会(松崎宗仁会長)と日本橋法人会(三田芳裕会長)が24日、中央区内で共催したセミナーで、三井不の上田二郎執行役員兼開発企画二部長が説明した。敷地内には最大5万人を収容できる「大規模集客・交流施設」やオフィス、ホテルなど9棟を建てる。敷地東側に設けるオフィス棟を除き、大半の施設で33年度の開業を目指す。
 最後に残るオフィス棟の敷地には暫定的な「先行にぎわい施設」を整備しておき、30年代半ばには恒久的なオフィス棟の建設に着手する。
 敷地の回りには都心・臨海地下鉄新駅や首都高速道路晴海線の出入り口ができる構想もある。ただこうした交通基盤が整うのは40年代になる見通し。まちびらきの10年程度先になるため、既存の都営地下鉄大江戸線築地市場駅だけでは、輸送が追い付かない可能性がある。
 上田氏は「イベント参加者を新橋や銀座といった方向に分散させるネットワークを考えている」と説明。「イベント終了後にすぐ帰宅するのではなく、食事を取っていってもらうなど、時間的に分散させる仕組みも考えている」と検討状況を明かした。
 敷地内にはレジデンス棟もできる。児童・生徒の数が大きく増えれば、周辺の小中学校で吸収しきれない恐れもある。上田氏は「まさにこれから、区と協議しなければいけないことだ」とした上で、「住宅をどんな商品企画にするか検討していく」と述べた。
 セミナーには中央区の山本泰人区長も出席した。山本区長は「(開発と)自然、人間生活の調和が、私たちが考えなければならない問題だ」と指摘。「軸を外すことなく、発展への道を探らなければならない」と強調した。
 築地市場跡地の所在地は築地5、6(敷地面積約19ヘクタール)。施設は9棟総延べ117万平方メートルの規模になり、総事業費は約9000億円を見込む。