回転窓/災害と向き合う

2024年9月25日 論説・コラム [1面]

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 長野県と岐阜県にまたがる標高3067メートルの御嶽山。9月最初の3連休に5号目と7合目をつなぐロープウエーが臨時休業した日があった▼急な運行休止に登山者たちが戸惑う中、「それなら歩こう。上は紅葉しているかな」と陽気に話す高齢のご夫婦がいらした。そんなお二人に勇気づけられ小欄も後に続いて山頂を目指した▼63人もの犠牲者を出し、戦後最悪の火山災害となった御嶽山噴火から27日で10年になる。山頂付近には両県や地元自治体らの防災力強化計画に基づき、これまでに避難シェルターなどが整備された▼紅葉も始まり登山道や山小屋がにぎわいを見せる御嶽山には、犠牲者を思って登る人もおられよう。長野県は毎年9月27日を「信州火山防災の日」に定め、火山防災への意識向上などを呼び掛けている▼秋分の日の連休、1月に発生した能登半島地震の被災地を記録的大雨が襲い、石川県輪島市内で地震の復旧工事に携わっていた建設業関係者も亡くなられた。犠牲になった方々に心より哀悼の意を表したい。噴火、地震、豪雨などによる災害がいつ起こるか分からない日本。国土の強靱化が急がれる。