自民党総裁選/事前防災強化で各候補共通、強靱化中期計画の早期策定も主張

2024年9月25日 論説・コラム [1面]

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 過去最多の9氏が立候補した自民党総裁選の投開票が27日に迫ってきた。能登半島が1月の地震に続いて豪雨災害に見舞われる中、国土強靱化をはじめとした防災政策が主要な争点となった。24日の党主催の討論会では、デジタル技術を活用した災害予知や老朽化したインフラの検知などソフト対策も組み合わせ、事前防災対策を強化すべきとの声が多く挙がった。「国土強靱化実施中期計画」を早急に策定・着手すべきとの主張もあった。
 自然災害やインフラ老朽化への危機意識は各氏で共通する。高市早苗氏は「令和の国土強靱化」を掲げ、気候変動を踏まえた対応を訴える。小林鷹之氏は「事前防災にかじを切り、できる限り財政出動していく」と強調。ドローンやセンサーによるインフラ劣化判定など新技術の活用を加速する政策提案も小泉進次郎、河野太郎両氏をはじめ複数候補から挙がった。
 林芳正氏はインフラ整備などのよりどころとなる国土計画を常時アップデートし「従来の利便性や経済性だけではなく、環境や防災、住みやすさなどに理念を変えながら事前防災に向けた諸施策を考える」と主張。茂木敏充氏は「まずは道路のミッシングリンク解消を一気にやることが大事」と具体的に指摘した。
 加藤勝信氏は老朽化対策などを担う建設業界の担い手確保に対応する必要性に言及し「毎年コンスタントに公共事業を維持していくことが経営継続につながる」と強調。石破茂氏は国として災害対応の体制が不十分と指摘し「(予報・予知に携わる)気象庁の体制を格段に上げていく」とした。上川陽子氏は「教訓を徹底的に分析し次の災害に当たる」などと主張している。
 小泉、小林両氏は防災対策の一環で首都機能の分散化を主張。全国規模の復旧・復興に当たるための復興庁の組織拡充、防災や危機管理の司令塔となる省庁新設を提案する候補も多い。
 相次ぎ被災する能登半島への対応では小林、加藤、河野の3氏らが「(予備費だけではなく)補正予算を早期に編成し、復旧・復興への国の意志を明確に示すべき」との考えを示した。一方、茂木氏のように「スピード感では予備費。徹底的に活用し被災者に安心感を与える」との主張もあった。公費解体の加速による住宅再建、地盤隆起被害を受けた漁業などのなりわい再建を急ぐべきとの考えは各氏で共通する。