九州整備局川辺川ダム砂防/新たな流水型ダムの環境アセス手続き完了へ

2024年9月26日 工事・計画 [9面]

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 九州地方整備局川辺川ダム砂防事務所は24日、「流水型ダム環境保全対策検討委員会」(委員長・楠田哲也九州大学名誉教授、10人)の最終会合を開き、球磨川流域の治水事業の一環で川辺川に計画する流水型ダムの「環境影響評価レポート」について議論した。特に修正を求める意見はなく、九州整備局では10月にも同レポートを公表し、縦覧を行った後手続きを完了する。その後、付け替え道路工事などの公告に向けた準備を進める。2027年度の本体着工、35年度の完成を目指す。
 流水型ダムに関しては、検討委の助言を聞きながら環境影響評価(環境アセス)法に基づくものと同等の環境アセスの手続きを進めており、環境影響評価レポートは評価書に相当する。
 今回の会合では8月までに提出された環境相と国土交通相の意見を基に、評価レポートの補正について議論。追加的な環境保全措置を実施する場合、専門家の指摘や助言を得ながら評価を行うことや、客観的かつ科学的な検討を行った上で措置するといった修正内容を確認した。
 九州整備局は、環境への影響のさらなる最小化を目指すとして、環境アセスの手続き後も学識経験者らによる「技術検討会(仮称)」を開催すると報告。ダムの施設などの設計や試験湛水手法、ダムの運用などを検討して「技術的検討レポート(仮称)」をまとめ、複数回公表予定と説明した。
 会合の最後に楠田委員長は「これ以上の出来はない。胸を張って出してもらえる」と話した。齋藤正徳川辺川ダム砂防事務所長は「レポートの内容を分かりやすく住民らに伝えることが重要。いろいろなツールを活用して周知を図っていきたい」と述べた。