国交省・吉岡幹夫事務次官が会見/災害に備える営み止めない、「地域の守り手」重要に

2024年9月27日 行政・団体 [1面]

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 国土交通省の吉岡幹夫事務次官が日刊建設工業新聞など専門紙の取材に応じた=写真。全国各地で自然災害が猛威を振るう中、防災・減災、国土強靱化対策の重要性に触れ「災害に備える営みが止まることがないよう、資材価格高騰などの環境変化にも順応し、継続的・安定的な対策を続けていかなければならない」と強調。「建設業は地域の守り手としてますます重要」と指摘し、第3次担い手3法に基づく処遇改善や生産性向上の取り組みを推進する考えを示した。
 2025年度予算の概算要求では柱の一つとして「安心・安全」に重点を置く。編成過程で計上額を決める事項要求に「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」の最終年度分と、資材高騰などを踏まえ必要な事業量を確保するための経費を挙げ、相次ぐ災害からの「復旧・復興と事前防災対策をしっかりと進める」。災害時に備えインフラが十分に機能を発揮できるよう、日頃からのメンテナンスも重要視する。
 地域の守り手となり災害対応を支える建設業を「持続可能な産業にしなければならない」とも話す。6月成立の第3次担い手3法に基づき、働き手の処遇改善や働き方改革、現場の生産性向上に注力する。
 改正建設業法で規定する「労務費に関する基準(標準労務費)」に関する中央建設業審議会(中建審)のワーキンググループが始動。25年末までの作成・勧告に向け「非常に大変な作業になるが(業界などからの)期待も高い。しっかりと議論し、活用されるものにまとめたい」と意気込む。改正公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)に基づく発注関係事務の共通ルール「運用指針」などの改定も進めており、25年度からの運用に向け「魂を入れていく」。
 直轄工事で先行する週休2日の取り組みは「最終的に完全週休2日を目指し、地方自治体発注工事や民間工事にも広げていく」。4月に打ち出したi-Construction2・0を踏まえ「ICTを活用し、今まで以上に生産性を上げていく」とする。
 全国各地に組織を置く国交省の力の源泉を「現場力」とし「一人一人が与えられた責務を果たしていく」必要性を説く。能登半島地震からの復旧対応で陸・海・空が連携した啓開や物資輸送に当たったことを例に出し「通常の仕事でも省内で幅広く連携しシナジーを出していく」と話す。