賃上げ幅は3~6%が最多、総合評価の加点措置に6割が不満/全建会員調査

2024年9月27日 行政・団体 [1面]

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 建設業の処遇改善に向けた動きが続いている。全国建設業協会(全建、今井雅則会長)の調査によると、回答した会員企業のうち2024年度に賃上げしたのが約8割と、23年度と同水準を維持。上げ幅は「3~6%」が最も多く、3月に全建など建設業4団体と政府が申し合わせた24年度に「5%を十分に上回る」賃金上昇を目指し対応していることが分かった。ただ総合評価方式で賃上げした企業の加点措置に対しては「安定した受注量の確保が見通せない」などを理由に、約6割が不満に感じている現状も浮き彫りとなった。
 「発注関係事務の運用状況等に関するアンケート」を7月に実施。会員企業2202社から回答を得た。
 賃上げした企業の割合は、23年度80・8%、24年度79・5%となり、約8割の水準を維持していた。上げ幅は「3~6%」が32・1%(前年度調査と比べ1・8ポイント上昇)と最多。次いで「1~2%」が28・3%(3・2ポイント上昇)、「6%以上」が7・0%(0・4ポイント上昇)となった。「賃上げを実施していない」は20・5%(1・3ポイント上昇)だった。
 賃上げしなかった企業にその理由を聞いたところ、「予定していた利益が確保できなかった」(42・2%)が最も多く、次が「その他」(29・0%)だった。「その他」の自由記述では、受注量の減少や物価高騰・人件費上昇などに苦慮する声が集まった。「24年度から月給を据え置き、週休2日にしたことで労働日数が減少し、時間単価が増額した」など、実質的な賃上げを行っているためという理由も挙がった。賃上げを実施しなかった企業の中には現在検討中という回答もあり、賃上げに意欲があることがうかがえた。
 賃上げした企業を総合評価方式で加点する措置の受け止めを聞いたところ、「(やや)満足」が41・0%、「一部不満」が30・5%、「不満」が28・5%となり、「一部不満」と「不満」の合計が約6割を占めた。
 「一部不満」「不満」と回答した企業の理由(複数回答)を見ると、「安定的な受注量の確保が見通せない」が64%で最も多く、「賃上げ加点を受けても競争環境が厳しく受注に至らない」が46・7%で続いた。自由記述では「毎年賃上げを続けると体力がない会社がつぶれる懸念がある」「ほぼ全ての会社が賃上げを実施しているので優位になれない」といった不安の声が寄せられた。