御嶽山噴火から10年/地元自治体らハード対策完了、続く活火山との共生

2024年9月27日 論説・コラム [1面]

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 63人の犠牲者が出た2014年9月27日の御嶽山(長野県・岐阜県、3067メートル)の噴火から、27日で10年となる。地元自治体などでつくる御嶽山火山防災協議会の防災力強化計画に基づくハード対策が完了。鋼製やコンクリートの避難シェルターが山頂付近に設置されたり=写真、山荘にアラミド補強措置などが講じられたりした。
 長野県木曽町は、山頂直下のコンクリート製ボックスカルバート3基のほか、鋼製2基、簡易式1基の計6基の避難シェルターを設置した。同王滝村は、王滝口登山道から剣ケ峯に至るルート上に鋼製シェルターを2基設置。噴火当時、山頂の御嶽神社の祈祷所は火口側の壁が噴石で突き破られたため、シェルターは緩衝材の土のうや保護材で覆ってある。一帯には通信機能の向上対策なども施した。
 火口周辺おおむね500メートル以内は、災害対策基本法に基づき警戒区域が設定され、立ち入り禁止が続くものの、紅葉で山が色づくこの時期、山頂は大勢の登山者らでにぎわう。同協議会は、火山防災に関するPR動画などを通じた安全対策の強化を呼び掛け、さまざまな情報発信に力を入れている。
 黒沢口登山道の9合目に位置する石室山荘の向井修一さんは「ヘルメットを装着してくれる人が増えた。災害の記憶は世代を超えて伝えていく」と話す。地域では、御嶽山火山マイスターの認定者が噴火を教訓にした防災教育に取り組んでいる。活火山との共生は続く。