大成建設/「やわらかい木」を構造部材に利用、壁や屋根を曲線的なデザインに

2024年10月2日 技術・商品 [3面]

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 大成建設は、人の手で簡単に曲げたりねじったりできる高弾性の木質材料「やわらかい木」を、構造部材として使う新構法を開発した。一定間隔で並べた木製の柱に帯状のやわらかい木を格子状に編み込み、曲線的なデザインの壁や屋根を構築できる。建築物の木造化や木質化の需要が高まる中、強度が低い木材の使い道を広げられる。同社は独創的な意匠の木質空間をつくり出せる構法として、積極的に提案していく。
 やわらかい木は、2008年に東京大学の足立幸司特任助教(現秋田県立大学教授)が開発。薄い板をシート状の粘着剤で貼り合わせて積層し、従来の合板と比べ10倍以上の曲率を持つ。容易に滑らかな曲面をつくれる意匠性の高さから家具材などに利用されてきたが、柔らかさゆえに自重や人力で変形しやすく、自立させるのが難しかった。
 開発した木質網代構法「T-WOOD Goo-nyaize」(グーニャイズ)では帯状のやわらかい木を柱や梁に編み込み、表裏に平面部分を規則的に配置することで、外部からの力に対して抵抗を生み構造性能を発揮させる。柱には曲げながらビスで留め付けて形状を維持。ビスを抜くと形が板状に戻るため運搬、保管がしやすい。やわらかい木の形や配置などを変えることで採光量も調整できる。
 横浜市戸塚区の大成建設技術センターに同構法でパーゴラを建て、加力・荷重実験を実施。木造耐力壁の強さを表す壁倍率換算で約0・5~1・0倍と、従来の耐震壁と同等の性能を備えることを確かめた。同社と足立教授が共同で特許を申請している。
 これまで低密度の木材は製材後の強度が低く構造部材として使いにくかったが、やわらかい木が構造部材に適用できることで未利用材の有効活用を期待できる。