東京都/谷沢川の洪水対策で分水路整備が終盤、26年度の完成めざす

2024年10月2日 工事・計画 [4面]

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 東京都が世田谷区内で進めている谷沢川分水路の整備工事が終盤に入った。谷沢川近くの環状8号線などの地下にトンネルを構築。河川の増水時に取水し、下流へと分散して流す。トンネルの掘削工事を終え、9月に下流で分水路の水を谷沢川に戻す水路工事が始まった。施工をフジタ・ホープJVが担当している。今後、取水施設の工事なども行い2026年度の完成を目指す。
 谷沢川は世田谷区の南東部を流れ、最終的に多摩川と合流する1級河川。過去には大雨によって氾濫し、道路の冠水や家屋の浸水被害が発生していた。1時間当たり75ミリを超える豪雨時に分水路に洪水を流し、沿岸の被害を防ぐ。
 分水路の工事は18年度に始まった。21年5月に下流部に位置する都立園芸高校玉川果樹園(世田谷区玉堤2)の発進立坑からシールドマシンで掘削を開始。世田谷区道や環状8号線、国道246号の地下を通り、到達立坑のある上流部の区立玉川台広場(玉川台1)に24年5月に到着した。
 トンネルは内径5・5メートル、延長3・2キロ。地下16~30メートルの位置に構築した。都の河川では初となる「ふかし上げ構造」を採用。下流ではポンプを使わず、高低差によって生じる圧力によって水を地上に上げ、谷沢川に放流する。トンネル本体工事は安藤ハザマ・東鉄工業・京急建設JVが担当した。
 上流の玉川台広場に整備する取水施設では、谷沢川のほか、地下にある雨水幹線とも接続する。現在、雨水幹線と取水施設をつなげる工事事業者を選定中だ。河川と下水道管両方の水を取り込むことで外水氾濫と内水氾濫の両方の被害を防ぐ。