大林組ら/地下コンクリ躯体の防水工法開発、短工期で湧水浸入防止

2024年10月3日 技術・商品 [3面]

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 大林組は地下水が原因の漏水を短工期で未然に防ぐ、地下コンクリート躯体の防水工法を開発した。特殊な立体繊維を一体化させたエチレン酢酸ビニール樹脂(EVA)系の防水シートを、地下コンクリート躯体の内側から専用のセメント系張り付け材で接着する。短工期、省人化を実現しながら、地下水由来の湧水の浸入を確実に防ぐ。同工法を積極的に提案し、短工期で優れた地下コンクリート空間を構築することで、高品質な建設物を提供する。
 「インナーシャット工法」は、防水工事や防水シートの販売などを手掛けるハセガワシート(千葉県八千代市、長谷川壽一代表取締役)と共同開発した。
 防水シートに一体化させた立体繊維がセメント系張り付け材に絡み付き、下地面に強固に接着。地下コンクリート躯体に浸入した地下水の水圧(背面水圧)による防水シートの膨れ、剥がれを防ぐ。防水シートは伸びに強く、コンクリート躯体の挙動やひび割れに対して追従し、剥離や破断が生じない。
 地下の内壁側から施工できるため、安定した作業環境が確保できるとともに、建物供用後の点検や補修も簡単にできる。主な工程は防水シートの張り付けだけなので、防水性を求める場合、最短1日で工事が完了する。
 防水シートに防食性があるため、防食性能を求める場合でも防水シート張り付けとシート接合部処理の最短2日で施工可能。湿潤面にも施工できる。コンクリート下地の養生や乾燥を待たずに施工でき、躯体構築から防水・防食工事完了までの工期を短縮できる。