回転窓/目的意識が生み出す差

2024年10月4日 論説・コラム [1面]

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 「DXをとにかく進めろと指示されているが、何から手を付けたら良いのか分からない」。ある企業でDX推進のリーダーに着任した方がぼやいていた▼感じたのは手段と目的の乖離(かいり)。高いレベルの成果をより効率的に浸透させ、社会貢献と利益獲得の両立が目指す方向だろう。DXは有効な手だてだが目的ではない▼多くの産業で生産性向上が問われる中、付加価値を生み出す力のある経営企画人材のニーズは高まる一方だ。リクルートが先週発表した調査では、2024年1~6月期の経営企画関連の求人は、15年同期の10倍に増えた▼転職者数の伸びは3倍にとどまり、ニーズに見合う人材は不足気味。「事業成長のための課題解決を幅広く任せる」など要件が曖昧で、マッチングに至らないケースも多いそう。解決すべき課題を言語化し、求職者に訴求することが重要と同社は指摘する▼「三人寄れば文殊の知恵」と言うように、複数のアイデアが融合し新たな道が開けることは多い。未来を創造する人を自社に呼び込むには目的意識が大切。その追求心の有無が、人材の集まる側と出て行く側に分けるのだろう。