国交省/ICT施工の地盤改良と舗装修繕、25年度から適用拡大

2024年10月4日 行政・団体 [1面]

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 国土交通省は直轄工事で2025年度から適用するICT施工の工種拡大に向けた検討状況を明らかにした。地盤改良工のうちサンドコンパクションパイル工(SCP)で施工履歴データを用いた出来形管理の要領化を検討。ICT舗装工のうち20年度から適用する修繕工は基準類を見直し、従来は選択式だった路面切削などへの適用を必須項目に切り替える方向で検討する。この2工種に加え、AR(拡張現実)技術を活用した出来形管理の簡略化を24年度に試行し、効果検証を経て要領に反映させる。
 SCPのICT化は実態調査で普及を確認し、出来形管理と検査に適用する。人力で行う杭芯の位置誘導をGNSS(全球測位衛星システム)によるナビゲーションに置き換え、位置座標を全数記録することで間隔計測を省略する。砂の投入量や深度から杭径を全数管理し、100本につき1カ所の掘り起こしで行っていた確認作業を簡素化する。
 ICT舗装工の修繕工では、ICT対応の路面切削機の普及を踏まえ基準類を見直す。車道の交通規制の削減を目的に、従来は3D計測技術を活用した起工測量などを適用対象としていた。路面切削と、その出来形管理は選択式だったが、必須項目に切り替えることでICT対応機の活用を促進する。
 AR技術を活用した出来形管理は、BIM/CIM適用工事の施工段階で作成した3DモデルをARなどで現地に投影し、その場で出来形計測を行う流れ。書面と実地の両方で行っていた完成検査を簡略化する。発注者は遠隔臨場で対応可能になり、施工中の現場に投影しても効果が見込めるため施工者のメリットも大きい。24年度に2件程度の試行を予定する。
 国交省はICT施工の適用拡大を進める一方、3D計測技術を活用した出来形管理の要領のスリム化や、基準類の整備で民間提案を受け付ける運用方法を見直す。
 要領のスリム化は「総括表」を軸に別表の資料をそれぞれ参照する構成に見直すことで対応する。関係団体への意見照会を終えており、25年1月以降に最終的な改編内容を公表・周知し同4月から運用する予定。民間団体などからの提案は年度ごとに募集・対応する従来の方法を変更する。国土技術政策総合研究所(国総研)を窓口に随時受け付ける方法とし、提案から反映までの効率化を図る。