近畿整備局/上池原トンネル工事WTOプロポ公告、11月1日まで参加受付

2024年10月7日 工事・計画 [8面]

文字サイズ

 近畿地方整備局は4日、2023年12月に国道169号奈良県下北山村上池原で発生した崩土災害の本格復旧対策として新設する「上池原トンネル(仮称)」(延長約2・8キロ)の工事発注手続きを開始した。安全かつ経済的な施工を確保しながら早期復旧を実現するため、技術提案・交渉方式(技術協力・施工タイプ〈ECI〉)を採用。設計と工事発注手続きを同時進行し、工事着手時期を半年以上前倒しする。申請書と資料は11月1日まで受け付ける。
 工事場所は下北山村前鬼~上池原。現地は深層崩壊の危険性があり、国道は全線で地滑りや緩み地形が存在する。有識者による検討委員会(委員長・大西有三京都大学名誉教授)で三つの本格復旧案を比較検討した結果、現道の山側に別線トンネルを新設することが決まった。奈良県に代わり国の権限代行事業として約2・9キロ区間に約2・8キロ(幅員7・5メートル)のトンネルを建設する。
 委託先選定に公募型プロポーザル(WTO対象)を採用。「国道169号上池原トンネル他工事に係る技術協力業務」の手続きを先行し、選定した優先交渉権者と委託契約を結ぶ。その後、別途契約済みの「下北山村地区トンネル詳細設計他業務」(受注者=オリエンタルコンサルタンツ)に提案内容を反映させながら工事価格などを交渉し、成立した場合に本体工事「国道169号上池原トンネル他工事」の契約を結ぶ。
 参加資格は一般土木工事に登録し、経営事項評価点数1200点以上の単体または2~3者構成の特定JV。単体とJV構成員の1者は09年度以降に同一工事で▽NATMによるトンネル工事▽トンネル代表内空断面積(覆工後の内空断面積)が45平方メートル以上▽トンネルの掘削・覆工延長1400メートル以上-の元請施工実績などが必要。土木関係建設コンサルタントの登録も条件とする。
 技術協力の業務内容はトンネル工事に関わる設計計画、現地踏査、本体工設計、施工計画・仮設備計画の各一式。▽技術協力業務に関する提案(20点)▽主たる事業課題に関する提案(40点)▽不測の事態の想定、対応力(40点)-の項目で評価し、最高得点者を優先交渉権者に選ぶ。予定納期は25年3月31日。参考額は900万円程度(税込み)。
 優先交渉権者に与えられる建設工事の内容は延長2870メートル、道路トンネル工事(NATM、標準部内空断面積53平方メートル、掘削・覆工延長2778メートル)、坑門工2基、仮設工一式。予定工期は契約締結日の翌日から29年3月31日まで。工事規模は150億円程度(税込み)を見込む。