全建ブロック会議・関東甲信越地区/業界変えるチャンスに、働き方の現状検証・共有

2024年10月9日 行政・団体 [1面]

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 全国建設業協会(全建、今井雅則会長)と都道府県建設業協会、国土交通省による2024年度地域懇談会・ブロック会議が8日、東京都内で開いた関東甲信越地区の会合を皮切りにスタートした。業界側は資機材価格の高騰を踏まえた十分な事業量の確保を要望。時間外労働の上限規制の順守や若い担い手の確保に向け、働き方改革につながる施策の展開や建設技能者の賃金アップなども訴えた。
 同日のブロック会議は、10都県の建設業協会で構成する関東甲信越地方建設業協会(会長・青柳剛群馬県建設業協会会長)が主催した。青柳会長は業界が抱える課題として自然災害への備えと時間外労働上限規制への対応の二つを挙げた。上限規制対応では「見方を変えれば業界が大きく変わるチャンス」との考えを示した。「地域建設業ならではの働き方改革がどう進んでいるのかを検証し、共有していきたい」と国交省との議論に期待を寄せた=写真。
 国交省の岩崎福久関東地方整備局長は自然災害の頻発化に対応するため、「地域の守り手である建設業界と力を合わせて、業界を取り巻くさまざまな課題に対応しなくてはいけない」と指摘。「建設業を魅力的で持続可能な産業にするために、課題解決へ(官民)双方で知恵を出し合うことが大事だ」と建設業界との議論に意欲を示した。
 長野県建設業協会(木下修会長)は「国土強靱化実施中期計画」の24年度中の早期策定を要請。同計画では資材価格高騰などを踏まえ、現行の「5か年加速化対策」を大きく上回る事業量の確保を求めた。
 公共工事設計労務単価の見直しでは、茨城県建設業協会(石津健光会長)が週休2日の導入によって建設業就業者の所得減少につながらないよう訴えた。群馬建協も設計労務単価の見直しを求めると同時に、賃金アップを下請にまで行き渡らせるため、繁忙期や閑散期といった市況に応じた柔軟な単価設定や建設キャリアアップシステム(CCUS)のレベルに応じた単価設定などを提案した。
 埼玉県建設業協会(小川貢三郎会長)は外国人技能労働者の増加に対応した措置を要望。技能検定での通訳の帯同など、外国人の受験を想定して試験制度を見直すよう求めた。栃木県建設業協会(谷黒克守会長)は建設現場の熱中症対策として、実態に即した工期設定や歩掛かりの改定を提案。山梨県建設業協会(浅野正一会長)は建設現場の生産性向上に向け、ICT建機などの導入費用の負担を呼び掛けた。