国交省・山本巧道路局長/未来見据えた施策推進、新技術導入し働き方改革も

2024年10月9日 行政・団体 [1面]

文字サイズ

 国土交通省道路局長に7月就任した山本巧氏が、日刊建設工業新聞などの取材に応じた=写真。自然災害への対応や渋滞の解消といった課題に向き合いつつ、自動物流道路など未来を見据えた施策を推進。「新時代の課題解決と価値創造につながる道路行政を進めていきたい」と話した。DXやAI、新技術を積極的に取り入れ、働き方改革に取り組んでいく考えも示した。
 1月に発生した能登半島地震では道路の被害が相次いだ。耐震性や復旧性の確保に向け「災害時に確実に機能する道路ネットワークの在り方について改めて検討が必要」と指摘する。特に高規格道路は物流網の要となる役割を踏まえ、未整備区間の整備や暫定2車線区間の4車線化を推進していく考えだ。
 道路施設の老朽化対策も喫緊の課題と捉える。修繕が遅れている地方自治体への財政面や技術面の支援を継続しつつ、新技術の活用を通じて対策を着実に推進。損傷が深刻化してから大規模な修繕を行う「事後保全型」から、損傷が軽い段階で補修を行う「予防保全型」への転換を図っていく方針を説明した。
 高速道路などで自動で荷物を運ぶ「自動物流道路」については、トラックドライバーが不足する物流の2024年問題への対応だけでなく、温室効果ガスの削減策として施策の重要性を強調する。目標とする30年代半ばまでの第1期区間の運用開始に向け「産官学が技術と知恵を出し合い、一丸となって進めていくことが必要不可欠だ」と話し、検討を加速していく考えを示した。
 東北地方整備局長を2年間務めた経験から、除雪作業を担う地域建設業が持続的に運営していくための支援にも意欲を示した。国の直轄道路で実施している除雪待機費の支給などを含め「発注者側の支援をますます充実していきたい」と話す。