国交省/官民連携でASP機能拡充、現場ニーズ踏まえアプリ開発

2024年10月10日 行政・団体 [1面]

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 国土交通省は建設工事の施工管理や監督・検査に用いる電子データを受発注者間でやりとりする情報共有システム(ASP)の機能拡充を官民連携で加速する。国交省と建設業団体、ASPや施工管理ソフトを提供する事業者団体で協議体をつくり、現場のニーズを踏まえた役に立つアプリの開発・実装を進める。当面は現場立ち会いなどの日程調整を効率化するアプリの必要性で関係者らの認識が一致しており、2025年度にかけて開発・一部運用を開始する方向だ。
 協議体は7月から複数回の議論を重ねている。発注者の立場で国交省官房技術調査課、受注者の立場で日本建設業連合会(日建連)が参加。これにASPベンダーで構成する「建設情報共有システム協会(CISSA)」と施工管理ソフトベンダーで構成する「施工管理ソフトウェア産業協会(J-COMSIA)」で構成する。今後のメンバー追加も想定する。
 現状の施工管理や監督・検査では受注者ごとに異なるASPや施工管理ソフトを用いているため、受発注者間のデータアクセスや管理に難点がある。これまで国交省は施工管理関連データを一括して取り扱う協調領域として「ICTプラットフォーム(仮称)」の検討を直轄現場での試行を通じ進めてきた。今後はデータ活用ツールの開発・実装を加速する観点で、協議体での合意事項を踏まえASPベンダーに標準的なアプリ開発を促し、ASP機能を順次拡充していく。
 施工管理に関係する▽工程▽図面▽出来形・品質▽写真▽書類決裁-の各データの受け渡しを容易にしたり、一元的に管理したりするアプリを拡充していく方向になりそうだ。工程管理のアプリ開発の議論が先行しており、将来的に工程調整のためのデータの一元化を想定する。出来形・品質のオリジナルデータを手間を掛けず受け渡しするアプリも検討。発注者からの各ASPへのアクセス性を確保し、書類決算データを一覧表示できる機能の開発も視野に入れる。