ゼネコン/スタートアップとの連携加速、建設テック協会が初のオープンイベント

2024年10月10日 企業・経営 [3面]

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 ゼネコンとスタートアップとの連携が加速している。建設テック協会(代表理事・中島貴春フォトラクション代表取締役兼最高経営責任者〈CEO〉)は8日、東京都内で会員以外も参加するイベントを初めて開催した。清水建設、戸田建設、東急建設の3社が取り組み状況を報告。清水建設は5年間で21億円を出資し、戸田建設は12社と6ファンドに対して出資済みだ。東急建設も、グローバル・ブレイン(東京都渋谷区、百合本安彦社長)と運用総額50億円のコーポレート・ベンチャー・キャピタル(CVC)を組成し、出資を続けている。
 デロイトトーマツベンチャーサポート(東京都千代田区、斎藤祐馬社長)との共催。建設会社やスタートアップなどから100人が参加した。
 清水建設の担当者は、2020年4月に100億円規模の出資枠を設定したことを紹介。地理空間情報アプリプラットフォームサービス「mapry」を提供するマプリィ(兵庫県丹波市、山口圭司代表取締役)と土量計測システムで協業し、計画的なシールド掘進に役立てているとした。
 戸田建設の担当者は、20年にスタートアップ企業への投資活動を開始し、45件以上のPoC(概念実証)を行ったと報告した。出資先であるBH(東京都新宿区、澤規仁代表取締役)との連携では、スマートフォンから操作できる分電盤を開発。同社新社屋ビルの作業所で運用し、時間短縮に寄与したことを紹介した。
 東急建設の担当者は、米ブランチ・テクノロジー(テネシー州、ライアン・ラスクCEO)との連携を例示した。同社は、3Dプリンターを用いて多孔質マトリックス構造を作成し、強度を維持しながら意匠性の高い外壁を製造できる。東京都内の現場で波打った壁を取り入れる予定という。
 国土交通省の担当者らが登壇するパネルディスカッションも行われた。中島代表理事は「コミュニケーションをとって建設テックを盛り上げていきたい」と語った=写真。