埋浚協/国直轄工事94%が4週8閉所実現、時間外減少も交通船での移動時間が負担

2024年10月11日 行政・団体 [1面]

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 国直轄の港湾・空港工事の現場で休日取得や時間外労働削減の取り組みが進んでいる。日本埋立浚渫協会(埋浚協、清水琢三会長)が会員企業に実施したアンケートによると、2023年度完成工事の対象現場で4週8閉所以上を実現した割合は94%と前年度から9ポイント上昇。時間外労働上限規制の特別条項に抵触する職員の割合も大幅に減少した。一方、作業所から現場までの交通船などによる移動時間が負担になるという港湾工事特有の課題も浮き彫りになった。
 調査は会員企業28社が元請として受注している23年度完成工事203件を対象に実施した。いずれも国土交通省が発注する港湾・空港工事。
 計画当初に4週8閉所以上と設定していた現場は98%で、22年度(93%)を上回った。着工後の運用実態を見ると、4週8閉所を実現できたのは94%で前年度から9ポイント上昇。時間外労働上限規制の順守状況では、元請け職員906人のうち特別条項に抵触した職員の割合は5%。前年度の32%から大幅に低下しており、埋浚協は「極めて改善している」と評価している。
 現場の閉所や時間外労働の削減などで一定の成果を確認した一方、交通船による作業所から現場までの移動時間が負担となっている実態も明らかになった。アンケートによると、現場までの交通手段として49%が交通船と回答し、交通船などによる移動時間(片道)は平均20分だった。1日の作業時間が標準作業時間の480時間を下回る現場は62%を占めた。時間外労働を抑えるために、多くの現場で移動時間の分だけ作業時間を短縮させているようだ。
 現場の作業時間を短縮する中での生産性向上策を見ると、「施工機械の規格アップで1日当たりの施工量を確保した」「職員にノートパソコンを支給し作業船内や待機中の車内で作業できるようにした」など、限られた時間で生産性を高める工夫や取り組み事例が目立った。埋浚協は現場までの移動時間を考慮した作業時間や歩掛かりの設定を発注者に要望していく方針だ。