国交省・内田欽也都市局長/持続可能なまちづくりへ、GX推進や「事前復興」注力

2024年10月15日 行政・団体 [1面]

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 7月に就任した国土交通省の内田欽也都市局長が日刊建設工業新聞などの取材に応じ、今後の方針を語った=写真。自然災害が激甚化する中で「安全、安心で持続可能なまちづくり」を重点課題に挙げた。気候変動対策や生物多様性確保などにも意欲を示し「都市に何ができるのかを考えながら、まちづくりのGXを進めていく」と述べた。
 能登半島地震の被災市町ごとに担当職員を割り当て、復興に向けた相談などにワンストップで対応する体制を整備した。国交省の現地調査の結果を踏まえながら「技術的な面から支援してきたい」という。液状化対策の重要性も強調。ハザードマップの作成を促すため、地方自治体への財政面や技術面の支援を強化する考えも明らかにした。
 被災後の復興を円滑に進めるため、各自治体が災害対応体制や復興目標などを事前に定める「事前復興まちづくり」にも力を入れる。取り組みを検討していない自治体が全体の34%を占める状況で「被災経験のある自治体と、そうでない自治体の間に意識の差がある」と指摘。自治体の職員不足などを考慮しつつ、検討を支援していく考えだ。
 3D都市モデルの整備プロジェクト「PLATEAU(プラトー)」は、27年度までに都市モデルの整備範囲を全国500都市に増やす目標を掲げる。将来的には都市モデルの整備や活用、オープンデータ化が自律的に進んでいく「エコシステム」の実現を目指す。専用のコンソーシアムを通じて、産学官の連携を強化していく方針も説明した。
 11月に改正都市緑地法が施行され、民間の優良な緑地開発を国交相が認定する制度「TUNAG」の運用が始まる。制度の普及に向けて「(認定のモデルとなるような)質の高い事業に手を挙げていただければありがたい」と話した。