大阪・関西万博/開幕まで半年、パビリオン続々と姿現す

2024年10月15日 行政・団体 [10面]

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 大阪・関西万博の開幕まで半年を切り、大阪市の人工島・夢洲の会場予定地ではパビリオンの外観が続々と姿を現している。一部の海外パビリオンは建設の遅れが懸念されるものの、8月には万博のシンボルとなる外周2キロの大屋根リングがつながり、国内企業のパビリオンは着々と工事が進む。舗装や植栽など基盤整備も本格化し、これからラストスパートの半年間になる。2025年日本国際博覧会協会は11日、報道陣に現場を公開した。
 万博は「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに開催。会期は25年4月13日から10月13日まで。会場の面積は約155ヘクタール。国内民間が13企業・団体、海外から161カ国が参加予定。工事が順調な民間パビリオンはコンセプトなど展示概要を発表し、開幕に向けての準備が加速している。三菱未来館は民間パビリオンで初めて建物の引き渡しを終えた。
 海外パビリオンは四つの形式に分かれ、参加国が独自に建てるタイプAは47カ国になる見通し。当初は約60カ国が希望したが、資材価格の高騰などで約2割減った。3日時点で45カ国で施工業者が決定し、44カ国が着工済み。協会が建設を代行する簡易型のタイプXは5カ国になる見込み。協会が建設して参加国が借り受けるタイプBは16カ国、共同入居型のタイプCは93カ国になる。
 日本政府は「日本館」を出展し、大阪府と大阪市は大学や企業など産学官一体で「大阪ヘルスケアパビリオン」を建設する。関西の自治体でつくる関西広域連合は「関西パビリオン」を出展し、9府県が独自の展示エリアを設ける。いずれのパビリオンも着々と工事が進んでいる。
 万博協会が整備する施設では、大屋根リングの木造建築部分が組み上がり、舗装や植栽、エスカレーターの設置など仕上げ段階に入っている。大屋根リングは「多様でありながら、ひとつ」という会場デザインの理念を表した建築物。高さは12~20メートル、外径は675メートル。世界最大級の木造建築となる。大型イベントの会場となる大催事場や小催事場、迎賓館も急ピッチで建設が進む。
 会場西側では「未来の都市」をテーマにしたパビリオンが立ち、未来の施工技術や素材を体感できる。最大1万6000人を収容する「EXPOアリーナ」もある。
 リング内には慶応大学教授の宮田裕章氏や大阪大学教授の石黒浩氏、映画監督の河瀬直美氏、メディアアーティストの落合陽一氏ら8人の著名人がプロデュースするテーマ館「シグネチャーパビリオン」も計画され、斬新な外観が姿を現している。施工難度の高さや人件費の高騰などで入札の不調が相次いだが、着々と建設が進む。会場のにぎやかさの中で静かに落ち着ける「静けさの森」(2・3ヘクタール)は植栽工事が本格化している。
 会場までのアクセスとなる大阪メトロ中央線の「夢洲駅」は25年1月19日に開業。現在、駅舎建築工事が大詰めに差しかかっている。
 会場予定地ではパビリオンの躯体や内装、展示、設備に加え、外構や照明設備といった仕上げ工事が本格化する。これから工事のヤマ場を迎える。