国交省/育成就労施行へ転籍制限や費用分担の在り方検討、建設業25年度に検討会

2024年10月16日 行政・団体 [1面]

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 技能実習に代わる外国人材受け入れの新制度「育成就労」の施行に向け、建設分野を所管する国土交通省は建設業団体や有識者などで構成する検討会を2025年度にも立ち上げる。25年の初めごろまでに示される政府全体の基本方針や主務省令を踏まえ、建設分野の運用方針の作成に取り掛かる。主な雇用主となる専門工事業団体らの意見を聞きながら受け入れ見込み数などを検討。新制度で新たに容認する本人意向の転籍の制限期間や、転籍前の受け入れ企業が支出した初期費用の補償の在り方も焦点になる。
 新制度は27年6月までに施行する。制度所管省庁の出入国在留管理庁と厚生労働省は25年にかけて基本方針などを作成し、同年から産業分野別の運用方針を作成するスケジュール感を示す。これを念頭に国交省は25年度予算の概算要求で新制度の検討に関する経費を計上。建設分野の運用方針に関する検討会を立ち上げるとともに、育成就労から特定技能への移行に向けた「育成・キャリア形成プログラム」の検討に当たる方針だ。
 新制度では同一の業務区分内に限って本人意向の転籍を認める。転籍の制限期間は1~2年の範囲で業務内容などを勘案し、受け入れ分野ごとに規定する。就労者の職場選択の自由度をできるだけ確保しつつ、技能習熟に一定の期間を要する建設業の特性を踏まえた検討が必要となる。こうした現場の実情や要望を検討会の場で吸い上げる。最初の受け入れ企業が支出した入国や育成にかかる初期費用を転籍後の企業と分担する仕組みの明確化もミッションとなる。
 人材育成を通じた国際貢献をうたう技能実習と異なり、育成就労は人材確保を目的として打ち出し特定技能に移行する連続性も明確にした。このため外国人でも日本人と同じように国内でキャリア形成できるようなプログラムを作成する。検討に当たっては建設技能人材機構(JAC、三野輪賢二理事長)などと連携する。
 国交省は25年度に特定技能外国人の受け入れ拡大に向けた調査・支援も計画する。送り出し実績が少ない国でのマッチングイベントや、特定技能の海外試験を実施していない国でのニーズ調査などを検討。国際的な指標で就労中の外国人の従業員満足度を把握する本人向けアンケートも新たに実施する方向だ。