回転窓/秩序あるAIとの共存を

2024年10月16日 論説・コラム [1面]

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 2024年のノーベル物理学賞と化学賞は受賞する5人全員がAIの研究者に決まった。AI研究の受賞は120年余のノーベル賞史上初になる▼物理学賞では、米プリンストン大のジョン・ホップフィールド名誉教授が脳の神経細胞を模倣した機械学習モデル「ニューラルネットワーク」を開発。カナダ・トロント大のジェフリー・ヒントン名誉教授は、膨大なデータを学ばせる深層学習の手法へと発展させ画像や音声の認識技術につなげた▼化学賞では、米ワシントン大学のデイビッド・ベイカー教授が新しいたんぱく質が設計できるAI技術を開発。米グーグルグループのデミス・ハサビス、ジョン・ジャンパー両氏は、AIでたんぱく質構造の高精度予測に成功した▼AIは既に人々の生活やさまざまな産業で活用されている。建設業では生産性向上などのコア技術になりつつある▼「AIの父」と呼ばれるヒントン氏は、AIが人間社会に発展や革新をもたらす一方、制御不能となり悪用されるリスクにも警鐘を鳴らす。本格的に到来した人間とAIの持続可能な共存社会を築くためには、秩序ある枠組みが必要になる。