直轄港湾・空港工事7%で設計変更認められず、手続き簡素化・円滑化を/埋浚協調査

2024年10月18日 行政・団体 [1面]

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 国直轄の港湾・空港工事の7%で設計変更を認められなかったことが、日本埋立浚渫協会(埋浚協、清水琢三会長)の調査で分かった。認められなかった理由としては「設計通りでも施工可能と判断された」などが多く挙がった。設計変更手続きで発注者の内部資料の作成などが、現場の負担になっている現状も判明。設計変更手続きの簡素化や協議の円滑化を望む声が多く寄せられている。
 埋浚協は全国10地区で開いている国土交通省地方整備局などとの2024年度意見交換会で、調査結果を基に設計変更の実態と課題を提示。設計変更事務ガイドラインに沿った適切な運用や書類の省略・簡素化などを求めていく。
 調査は会員企業が受注し23年度に完成した工事199件を対象に行った。設計変更の実施状況を見ると、7%に当たる14件で「設計変更が認められなかった」。前年度調査では16件(8%)だったのに対し、「(件数は)減少したが、依然として(設計変更が認められないケースが)まだある」(埋浚協)との現状が示された。
 設計変更が認められなかった理由(複数回答)では、「設計通りでも施工可能と判断された」(57%)が最多。次いで「あくまでも受注者の都合と判断された」(29%)、「前例がないため」(14%)となった。
 設計変更手続きや書類作成のうち、省略や簡素化を希望するものについて聞いたところ「出先事務所が本局に説明するための発注者の内部資料」(33%)、「施工条件確認請求書」(27%)、「工法変更比較検討」(23%)となった。前年度調査でもこの三つが上位を占めており、書類作成などが引き続き現場の負担となっていることが分かった。
 設計変更に伴う書類作成のコストも現場の負担となっている。発注者の指示で変更資料を作成した82件のうち、78%に当たる64件で100万円未満の費用が発生していた。埋浚協は設計変更に関する資料作成を書面で指示することの徹底と同時に、書類作成にかかった費用を金額の多寡にかかわらず設計変更の対象とするよう要望に盛り込んだ。
 設計変更手続きの事例を見ると、良好事例としては「ウェブ会議の開催」「役割分担の明確化」などを列挙。負担が重かった事例では「方針変更による資料作成の手戻り」「協議が4カ月に及んだ」などが挙がった。