回転窓/気候変動とイノベーション

2024年10月18日 論説・コラム [1面]

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 川崎市で19日、国内最大級の花と緑の祭典「全国都市緑化かわさきフェア」が開幕する。市制100周年記念事業の一環▼京浜工業地帯がある同市は、経済発展が進んだ一方で開発により緑が失われてきた。フェアを契機に、次の100年へ豊かな緑を取り戻そうと呼び掛ける。主会場の一つが多摩丘陵に位置する生田緑地。里山の管理で発生した竹材で回廊を設置するほか、使用済み竹材の再資源化なども発信する▼同緑地の温度低減効果を体感してもらおうと、お盆時期に市民団体がイベントを開いていた。アスファルト舗装と草地で気温を比較。10度をはるかに上回る違いを見て、参加した子どもは「日なたでも草地の方が涼しい」と感心しきり▼近年、気候変動対策に焦点を当てた「気候テック」が注目を集めている。「地球沸騰化」とも呼ばれる事態の打開には、緑の再生・創出とともに技術革新も重要だ▼三菱地所が1日、気候テックに特化したイノベーション拠点を東京都内に開設した。共創を通じて生まれる技術に期待が高まる。季節の移ろいを感じる暮らしを引き継げるよう、今を生きるわれわれの行動が求められている。